心が寄り添いすぎると共感疲労になるので注意

共感疲労とは

共感疲労という言葉は医療や災害の現場でよく使われます。患者や被災者の気持ちに共感することで心が疲れてしまう状態ですね。この共感疲労は、介護士にもよく起こります。利用者への共感が基本の仕事なので、相手の思いを汲み取る場面が続くことで共感疲労になってしまうんです。

感情労働

感情労働という言葉を知っていますか？肉体労働や頭脳労働はよく聞く言葉ですよね。感情労働とは、相手の気持ちを汲み取って要望に応える仕事のことを指します。介護士は利用者と長期的に関わり、直接身体にも触れます。利用者が快適に生活できるように、会話の内容や表情などを意識しながら仕事を進めなければなりません。そのため、介護士は感情労働といえます。

感情のコントロールが難しい

介護士は場面に応じて感情をコントロールしなければなりません。忙しくて心に余裕がない時でも、利用者の前では笑顔で対応する必要があります。例えば、利用者が入浴を拒否しているとします。スケジュールが狂うので早く入ってほしいと思っていても、無理やり入浴を促すのはNGです。そこで介護士は、「どうしましたか？不安なことはありますか？」などと相手の気持ちを探りますよね？当然、その時は笑顔で語りかけます。このように感情を抑えなければならない場面が続けば、その反動でストレスが溜まっていきます。真面目に取り組んでいる人ほど、責任感が強いので無理をしがちです。そのうちに、本当の自分が分からなくなってしまうんですね。また、つらい状況の時に利用者からの拒絶や仕事のミスが発生すると、自分の全てを否定されたように思えてしまい、深く傷つきます。再び傷つくことに恐怖を感じ、仕事がどんどん上手くいかなくなってしまうんですね。すると無意識に心のバリアを張って、感情そのものが動かなくなります。恐怖を感じなくなると同時に、嬉しさや喜びといったポジティブな感情も失ってしまい、結果的に仕事を続けられなくなってしまうんです。

共感しすぎないこと

共感することは介護の基本です。しかし、共感が強すぎるのもいけませんよ。利用者の置かれている状況や感情に気持ちが入り込みすぎると、自分も巻き込まれてしまいます。仕事が終わってからも利用者のことが頭から離れず、いつの間にか自分の問題として悩んでしまい、眠れなくなる日々が続きます。また、利用者に対するケアへの理想が高くなりすぎて、周囲とのギャップが生まれて人間関係が悪化する恐れもありますよ。
感情労働であるからこそ、共感疲労には十分に注意しなければなりません。最悪なのは、全てがどうでもよくなってしまうことです。そうならないよう、適切に対処していきましょうね。